森友問題で窮地に陥った安倍晋三・首相。秋の自民党総裁選も赤信号がともっているなかで総理の椅子に座り続ける「政治的意味」に、痛烈な疑問が呈されている。
自民党は今国会中に憲法改正の条文案をまとめる方針だったが、一連の文書改竄問題に揺れる中、とりまとめを断念し、「秋の国会まで延期」(細田派議員)する方向だ。その前提となるのはもちろん「安倍3選」だが、極めて危うい情勢だ。「退陣勧告」を唱える自民党重鎮はこう口にした。
「前回総選挙で安倍さんは憲法改正を掲げ、自身の政治的悲願と位置づけてきた。それができなくなったのであれば、総理であり続ける意味はない」
同じく公約に掲げた「消費税引き上げ」についても暗雲が垂れ込めている。
「改竄問題によって、財務省が説明してきた消費増税の根拠にも疑問が呈されるのは避けられない。与党もこの状況下で不人気政策を断行するわけにもいかないだけに、またも“再延期”という決断は十分にあり得る。その場合、公約を果たせなかった責任を負うのは総理以外にいない」(同前)
行政トップとしての人望は地に堕ち、子分は逃げ出し、政党政治家としての信を失い、外交成果も見通しが立たない。そして自ら掲げた政治的使命も果たせない今、総理の椅子にしがみつく大義名分までもなくなった。
それは「もう終わった政治家」の姿に他ならない。
※週刊ポスト2018年4月6日号