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『あいのり』でっぱりんは桃に続くネットセレブになれるか

『あいのり』桃は今やネットセレブ(イラスト/ヨシムラヒロム)

『あいのり』桃は今やネットセレブ(イラスト/ヨシムラヒロム)

 近年、ネットを活動拠点として職業にする人が激増した。ブロガーから始まり、今やYouTuberは子供が将来なりたい人気職業に数えられている。『あいのり』(フジテレビ系列)出演で人気者となった桃が芸能人ではなくブロガーになってから10年が経った。後継番組『あいのり Asian Journey』(Netflix)で一躍、時の人となった“でっぱりん”はブログ、Twitter、Instagramに加え、先頃、カップルでYouTuberデビューした。イラストレーターでコラムニストのヨシムラヒロム氏が、『あいのり』シリーズ出身者のネットでの存在感について考えた。

 * * *
 現在、ネットテレビ業界で最も人気を集めるコンテンツがリアリティショーである。

 高校生が出演する『オオカミくんには騙されない』(AbemaTV)、オシャレな生活っぷりが魅力の『テラスハウス』、アジアを男女7人で旅をする『あいのり Asian Journey』(ともにNetflix)、1人の男性を20人の女性が奪い合う『バチェラー・ジャパン』(Amazonプライム・ビデオ)などなど、各動画配信サービスで制作されている。

“恋愛”をキーワードに私生活を公表し続けるリアリティショー、なまじな覚悟では参加できない。常時、カメラが回っているため、建前を演じ続けることは難しく、人として嫌な部分が映ってしまうこともある。これらの理由から出演者がSNSで非難されることも多い。

 ただ、制作陣にとっては苦情を集めるトラブルメーカーこそ創作の女神ミューズだ。リアリティショーとは、人間性を疑われる人ほど映る機会が多い皮肉な舞台。クセがない人が出演しても埋もれる。難儀な性格が評価にも非難にも繋がる。出演すれば間違いなく面倒なことになるが、出演を希望する人が後を絶たないのはデメリットを超えるメリットがあるからだろう。

 そもそも出演者といっても、タレントと素人の境界線上にいる人が多い。誰もが番組をキッカケにメジャーになることを期待。また、出演時は素人であっても虎視眈々と“何者か”への転身を狙っている。

 素人から“何者か”へ、そのブランディングに最も成功したひとりが現在ブロガーとして活躍する桃だろう。2007年から2008年の1年間、フジテレビで放送されていた時代の『あいのり』に出演。長期の出演と飾らないキャラクターで女性の支持を集めた。

 そんな桃は意中の相手への告白に成功し、日本に帰国してから1年後『桃オフィシャルブログ』を開設する。恋とメイク、そしてファッションと、女性が好むものに特化したブログは当初から人気が高かった。

 ちなみに、2009年2月07日の初投稿は桃の母親が開発したという「眠べえ」という睡眠時無呼吸症候群対策に効果がある枕の紹介。初っ端からアフィリエイトにも力を入れているようにしか読めないが、桃は文章がうまい。父親のいびきを見た母親の愛から「眠べえ」が生まれたエピソードを披露。商品の押しつけがましさを読者に感じさせることはない。

 常時、話題を作り出すことに余念がなし。『あいのり』で出会った彼氏との破局、2017年には一重まぶたを二重に整形する過程を投稿。私生活を晒す、桃のブログはリアリティショーに似ている。タレントほど遠くない距離感、読者が共感する記事に特化した桃は現在も小さなカリスマとして君臨中。AmebaBlog総合ランキング1位の常連、桃は『あいのり』の旅で獲得した知名度をきっかけにタレント活動を経由せずブロガーという職業を得た。

 タレントと同等にYouTuberやインスタグラマーといったネットを拠点にするセレブが人気者となった現在、桃の先見の明がわかる。

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