国内

舛添要一氏「五輪中止唱えるのがタブーな状況を作ったのは安倍さん」

舛添要一・前東京都知事は今の状況をどう見る?

舛添要一・前東京都知事は今の状況をどう見る?

 五輪開幕まで2か月を切り、菅義偉・首相の苦渋の表情が目に付く一方で、存在感を示しているのが安倍晋三・前首相だ。月刊誌『Hanada』7月号のインタビューで、ポスト菅について“子飼い”とも言える4人の名前を挙げ、政権への影響力を誇示した。

 しかし安倍氏は、「桜を見る会」の検察捜査こそ乗り切ったものの、東京五輪の1年延期、選挙買収事件の河井克行・案里夫妻に対する1億5000万円提供疑惑など、問題は山積。森友問題に端を発した赤木ファイル問題は安倍氏が原因をつくった。菅首相が迷走を続けているのは、そうした安倍政権の「負の遺産」に足を取られて身動きできないという面が大きい。

 そもそも五輪の開催が危ぶまれている原因は、安倍氏にある。安倍氏は昨年3月24日、国際オリンピック委員会のバッハ会長に「1年延期」を伝える直前、組織委員会会長だった森喜朗・元首相と首相官邸で会談した。森氏が朝日新聞(昨年4月2日付)でこんなやりとりを明かしている。

森氏「2年に(延期)しておいた方がいいのではないですか」
安倍氏「ワクチンの開発はできる。日本の技術は落ちていない。大丈夫」

“オレの任期中に五輪をやる。次の総理の晴れ舞台にはさせない”──という安倍氏の思いが透けて見えるやり取りだが、安倍氏はその半年後に退陣し、国産ワクチンも、国産治療薬も未だできていない。菅首相は前任者の「延期は1年まで」に縛られることになった。

 さらに安倍氏は菅続投支持を表明したBS番組で五輪について「オールジャパンで対応すれば何とか開催できる」と“五輪開催が支持の条件”であることを匂わせ、菅首相に“予定通りやれ”と念押しした。五輪準備に携わってきた舛添要一・前東京都知事が指摘する。

「安倍さんは1年延期を決めるにあたって『完全な形で実施する』と言った。現実は海外からの訪日客は入れないし、国内の入場者も減らすことが検討されている。完全な形で開催できないのだから、菅さんはそれを理由に五輪を中止するのが正当な判断だと思う。

 私は昨年まで、ワクチン接種がうまくいけば是非五輪を開催してほしいと思っていましたが、今のこの状況では開催を強行すべきではない。しかし、五輪中止を唱えることがタブーとする状況を安倍さんがつくってしまった。このコロナ禍で開催を強行するならその一番の責任は安倍さんにあります」

 誰かが決断しなければ──その日は着実に近付いているのだ。

※週刊ポスト2021年6月11日号

安倍晋三・前首相の狙いは?(時事通信フォト)

安倍晋三・前首相(時事通信フォト)

関連キーワード

関連記事

トピックス

勝負強さは健在のDeNA筒香嘉智(時事通信フォト)
DeNA筒香嘉智、日本復帰で即大活躍のウラにチームメイトの“粋な計らい” 主砲・牧秀悟が音頭を取った「チャラい歓迎」
週刊ポスト
『虎に翼』の公式Xより
ドラマ通が選ぶ「最高の弁護士ドラマ」ランキング 圧倒的1位は『リーガル・ハイ』、キャラクターの濃さも話の密度も圧倒的
女性セブン
羽生結弦のライバルであるチェンが衝撃論文
《羽生結弦の永遠のライバル》ネイサン・チェンが衝撃の卒業論文 題材は羽生と同じくフィギュアスケートでも視点は正反対
女性セブン
“くわまん”こと桑野信義さん
《大腸がん闘病の桑野信義》「なんでケツの穴を他人に診せなきゃいけないんだ!」戻れぬ3年前の後悔「もっと生きたい」
NEWSポストセブン
中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン
中森明菜
中森明菜、6年半の沈黙を破るファンイベントは「1公演7万8430円」 会場として有力視されるジャズクラブは近藤真彦と因縁
女性セブン
昨年9月にはマスクを外した素顔を公開
【恩讐を越えて…】KEIKO、裏切りを重ねた元夫・小室哲哉にラジオで突然の“ラブコール” globe再始動に膨らむ期待
女性セブン
食品偽装が告発された周富輝氏
『料理の鉄人』で名を馳せた中華料理店で10年以上にわたる食品偽装が発覚「蟹の玉子」には鶏卵を使い「うづらの挽肉」は豚肉を代用……元従業員が告発した調理場の実態
NEWSポストセブン
報道陣の問いかけには無言を貫いた水原被告(時事通信フォト)
《2021年に悪事が集中》水原一平「大谷翔平が大幅昇給したタイミングで“闇堕ち”」の新疑惑 エンゼルス入団当初から狙っていた「相棒のドル箱口座」
NEWSポストセブン
17歳差婚を発表した高橋(左、共同通信)と飯豊(右、本人instagramより)
《17歳差婚の決め手》高橋一生「浪費癖ある母親」「複雑な家庭環境」乗り越え惹かれた飯豊まりえの「自分軸の生き方」
NEWSポストセブン
大谷翔平の妻・真美子さんの役目とは
《大谷翔平の巨額通帳管理》重大任務が託されるのは真美子夫人か 日本人メジャーリーガーでは“妻が管理”のケースが多数
女性セブン
店を出て染谷と話し込む山崎
【映画『陰陽師0』打ち上げ】山崎賢人、染谷将太、奈緒らが西麻布の韓国料理店に集結 染谷の妻・菊地凛子も同席
女性セブン