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65才女性記者、“佐賀県”と“CA”で気づいた「先入観や決めつけを疑え」

(GettyImages)

オバ記者が佐賀を旅して気づいたこととは(GettyImages)

 女性セブンの名物ライター“オバ記者”こと野原広子が、日々の生活の中で感じた思いを自由に綴る。今回は、先入観や決めつけ、思い込みに関するエピソードです。

 * * *
 数週間前のGWのこと。クレジットカードで貯めたマイルを往復航空券に換えてくれる「どこかにマイル」というJALのサービスがあるんだけど、それで北九州行きのチケットを入手できたの。で、早速、佐賀県唐津市を訪ねてきたんだわ。唐津を選んだのは、旧知のネットニュース編集者・中川淳一郎さん(48才)の移住先だったから。

 中川さんが東京都から佐賀県に移住したのは2020年11月。もともと彼は「東京五輪を見届けてからセミリタイアしよう」と決めていたそうで、アメリカへ渡るつもりだったとか。でもコロナ禍で渡航がままならずに計画を見送ったところ、唐津市が「佐賀に住み込んで、地元情報を発信できる人」を求めていることを知り、それに乗ったんだそう。

 その佐賀県だけど、仲よしの中川さんがいなかったら行く気にならなかった県だわね。ていうのも、あの有名な国民的ドラマ『おしん』(NHK)で、おしんが逃げ出すほど激しい嫁いびりをした夫の実家が佐賀だったのよ。その当時、同居していた姑から「あんたなんか女としてはゼロよ、ゼロ!」と面罵されていた私は、姑憎けりゃ佐賀まで憎い。そこにわざわざ行くことないと思っていたわけ。

 ところが何!? 実際に訪れてみたら、ご飯やお酒は悩殺レベルで美味い。お魚も地元ならではの新鮮さで、これまたとびきり美味い。加えて何よりも、中川さんが紹介してくれる唐津の人の底抜けの優しさといったらない。それこそオセロゲームで黒が白にひっくり返るように、佐賀に抱いていたブラックなイメージが真逆に変わっていくんだわ。

 あ〜ぁ、魅力いっぱいのこの土地をもっと早く訪れておくんだった。一方的で勝手な決めつけ、思い込みは私の悪い癖。そのせいで、私はどんだけ取り返しのつかないことをしてきたんだろ……。

 そんなことを思いながら、北九州空港6時55分発の帰りの飛行機から下界を見下ろしていたら、CA(キャビンアテンダント)さんが飲み物のサービスを始めたの。

 CA! これほど特別なイメージを植え付けられた職業もないと思わない? なんたって私ら世代は、紀比呂子主演のドラマ『アテンションプリーズ』よ。いや、『アップダウンクイズ』の方が強烈だったか?

『アップダウン〜』では、全問正解者が出ると飛行機のタラップが現れて(もちろんセットだけど)、森英恵デザインのミニスカ制服姿のJALのスチュワーデスがハワイ旅行の航空券が入ったバッグを渡しに階段を上がる。学力優秀で容姿端麗な彼女らは、まぁ、生まれも育ちも残念な私から見たら、「けっ!」の一音で終わる女たちよ。時が流れ、スチュワーデスは、客室乗務員だのキャビンアテンダントだのと呼び名こそ変わったけれど、一生身近に感じることはないだろうなとそう思っていたの。

 なのに、長年住んだ東京・文京区から2014年に中央区の水天宮前に引っ越したら、皮肉にもそこがCAたちの居住地だったのよ。地下鉄・水天宮前駅のすぐ上は東京エアシティターミナルで、成田にも羽田にもアクセスがいい。なるほど、航空会社が借り上げ社員寮を置く土地柄よ。

 そうなると、「けっ」と思っていたCAの別の顔が見えてくる。だってまだ午前中だというのに疲れ果てた顔で、結い上げた髪も崩れぎみ。それで中型のキャリーバッグを重い足取りで引きずって帰ってくるんだよ。思わず「お疲れ〜」と声をかけたくなるって。

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