8月23日のヤンキース戦で、一度は捕球した大飛球をポロリと落とした名手・イチロー。よほど悔しかったのか、試合後に周囲をヒヤヒヤさせる発言が飛び出した。右翼ポールまで96メートルと、大リーグの球場にしては狭いヤンキースタジアムを「いまの日本の球場に藤井寺があるって感じかな」と皮肉ったのはいいが、問題はその後。
「まあ、張本さんでも守れる球場であることは間違いないですよ」と、球界OBきっての強面をおちょくる発言が飛び出したのだ。
昨年、張本氏の持っていた通算安打記録3085本を抜いたときには、「(あっぱれを)いただきましたね。ごちそうさまです」。さらにオリックス時代に210本安打したときに、「おれの記録を破るのは、お前だけだ」と声をかけられ、「大丈夫か、このおっさん。なにいっとんねん」と思ったという“失礼な”エピソードもあるイチロー。一方の張本氏といえば、『サンデーモーニング』における江川紹子さん降板騒動も記憶も新しい“うるさ型”だけに怒り心頭かと思いきや、周囲によると、なぜかニコニコ顔なんだとか。
そのからくりは、球界関係者曰く、
「自分の記録が抜かれるまで“日本記録はオレだ”“メジャーは試合が多くて比較にならん”なんていっていたのに、イチローが記録更新すると態度が一変。というのも、イチローに記録を抜かれたことで取材や講演が殺到したから。張本さんにとって、イチローは再び脚光を浴びさせてくれた恩人なんです」
とのこと。これではさすがの張本氏も、イチローにだけには「喝!」を入れられないようである。
※週刊ポスト2010年9月10日号