東京都内のある大手スーパーで、多くの買い物客でにぎわう一角には、アメリカ産の果物やイタリア産パスタなど、輸入食品が。8月中旬段階で、価格を見ると、大幅に値下げされていた。これは前月以前の例ではあるものの、「円高時に海外商品はお得」という一つのケーススタディになるだろう。
「もう円高還元セールをやってるんですよ。普段より4割以上安いものもあります」(50代の主婦)
輸送方法や決済方法によっても異なるが、円高で安く仕入れた商品が店頭に並ぶのは、一般的に10日-3か月後とされてきた。しかし最近は急激な円高になると、集客を狙って即座に「先取りセール」を行うスーパーも少なくない。
たとえばイトーヨーカドーでは、今年いちばんの円高を記録した8月11日の5日後から還元セールを実施した(8月22日で終了)。イタリアの高級パスタブランド「バリラ」のスパゲッティが44%引きの168円など、約30品目を最大5割引に。
流通ジャーナリストの金子哲雄さんはこう語っていた。
「大手スーパーが先取りセールをすると、地元スーパーもそれに追随することが多い。9月初旬までは円高還元セールの“連鎖”が続きそうです」
輸入食品のなかでもいまは「ヨーロッパ産が狙いめ」と金子さんは語った。
「ニュースではドル安ばかりに目がいきがち。でも実は円高は対ユーロでもかなり進んでいます。3年前には1ユーロ=160円台だったのが、いまは1ユーロ=100円台で60円も違う。1年前と比べても、ドル経済圏の商品がおよそ1割安なのに対し、ヨーロッパからの輸入品は2割ほど安いのでよりお得感が味わえます」
※女性セブン2010年9月9日号