中国での需要増を見込み、近年ロシアが大量のサンマを乱獲しているが、ロシアと同じく、サンマの乱獲者として問題視されているのが韓国漁船である。
韓国漁船は、日本、ロシア両国の排他的経済水域に含まれない、北西太平洋の公海上において大型漁船を使ってサンマを獲っている。ここではまだサンマが小さく脂も乗っていないが、韓国漁船はお構いなく、文字通り“一網打尽”にしてしまうのだ。
韓国漁船が本格的にサンマ漁に参入したのは2001年である。この年、ロシアは北方領土周辺海域におけるサンマ漁の操業許可を韓国、北朝鮮、ウクライナなどの漁船に与えた。許可を受けた韓国漁船は26隻だった。
この時、日本政府は、我が国固有の領土である北方領土周辺海域の操業許可を他国に勝手に与えたことに抗議した。しかし、我が国自身が、鈴木宗男氏が中心となり作った安全操業の枠で、ロシアにカネを払いこの海域での漁を認められているという矛盾があり、抗議はあまり意味をなさなかった。日本政府は、韓国への対抗措置として、三陸沖で韓国漁船がサンマ漁をすることを禁じた。
根室市水産港湾課の佐田正蔵課長も、「韓国船が公海上で激しくサンマ漁をしていることは知っています。だが、どれほど獲っているのかは知る術がない」と困惑する。
取材・文/山田吉彦
※週刊ポスト2010年9月10日号