元大関・小錦は子供の誕生を渇望していたが、医者から「精子がいない」と告げられた。その後様々なトライをしたものの、精子は見つからず、遂に「最終手段」ともいえる「キンタマを切開する」手術を受けた。だが、これでも小錦の体から精子は採取できなかった。そんな小錦が、不妊治療にかかる「お金」について語る。
「日本は不妊治療に保険が適用されないから、治療にものすごくお金がかかる。これも夫婦にとって大きな負担になるよね。僕の場合、精巣の切開手術で1回50万円。精子が見つかる確率はだいたい30%だっていうから、ギャンブルみたいな手術に50万円も払うってことでしょ。
運良く精子が見つかって体外受精することになったら、さらに費用がかさんで100万円は見ないといけない。僕は自分が経験して思ったの。日本は今、少子化問題を抱えているんだから、国として不妊に悩む人たちへのサポートを考えるべきだよ。保険の適用はすぐにでもするんじゃないかな」
現在、不妊治療の大部分は健康保険が使えない。保険が使えるのは、女性の排卵日を検査薬などによって予測し排卵日前後に性交を行うタイミング法や、排卵誘発剤による治療などに限られる。この場合、1回、数千円程度で治療を受けられる。
それ以外の人工授精や体外受精、あるいは小錦が受けたような切開手術は保険の適用外で、不妊症患者にとって大きな負担となっている。
※週刊ポスト2010年9月10日号