10年7月28日、東京都足立区の民家で、戸籍上は111才となる加藤宗現さんのミイラ化遺体が見つかった。この事件が露見することになったきっかけは、民生委員のA子さんによるものだったが、全国に約23万人もいるという民生委員の仕事とはどのようなものなのか?
民生委員とは、要保護者の保護指導にあたり、社会福祉の増進に努めることを任務とする名誉職。市町村の各区域に組織された民主委員数名による民生委員推薦会によって、該当地域に住む73才未満の中から選ばれ、都道府県知事等が推薦、厚生労働大臣が委託することで選ばれる特別職(非常勤)の地方公務員。任期は3年で、再任も可能だが、給与が支給されることはなく、完全無給のボランティアだ。現在、全国に約22万8000人を数える。
具体的な仕事はというと、担当する地域の住人に対し声かけや戸別訪問によって安否確認や生活状態を必要に応じて把握し、生活に関する相談に乗って、助言や手助けを行うこと。福祉事業者や行政機関と相談者を結びつける役割もある。
その民生委員の存在がありながら、なぜ加藤さんはミイラ化するまで発見されなかったのか?
その件について、前述のA子さんは、「当時はまだ存命中だった宗現さんの奥さんが対応してくれたんだけど、こちらが『シルバーパスを持ってきました。ご主人はお元気ですか?』と聞くと、『ええ、元気にしております』といつもいうんですよ。奥さんは元学校の教師という立派なかたなので、それは彼女の言葉を信じますよ」と述べ、さらに「一度足立区役所に電話して安否を調べてもらったことがあるんですよ。そうしたら、1週間くらいして区役所から電話がかかってきて、『加藤宗現さんはいらっしゃいますよ』との回答だったんです」とも語ったのだ。
彼女は「いま思えばおそらく区役所のかたは、実際に会いに行くようなことはせずに、住民票に名前が残っているから、機械的におっしゃったたけなんじゃないの」と語っており、要は役所が仕事をしなかったと指摘している。
※女性セブン2010年9月9日号