結果的に民主党代表戦は菅直人総理の勝利に終わったが、当時の報道について、ジャーナリストの上杉隆氏は、この件について「記者クラブメディアの『小沢嫌い』が、報道を歪めている」と批判。「その象徴が『世論調査』にある」と指摘していた。
新聞各紙は小沢氏の出馬表明を受けて、一斉に世論調査を行なったが、共同通信の調査では「代表になってほしい候補者」に菅直人首相を挙げた人は69.9%で、小沢一郎前幹事長の15.6%を引き離した。質問の仕方は微妙に違うが、毎日新聞は78%、読売新聞は67%。産経新聞は60%と、いずれも菅氏支持が大差をつけている。
ところが、インターネットの世論調査では、反対に「小沢支持」という結果も出ている。ヨミウリ・オンラインの「小沢出馬を支持するか、しないか」の調査は「小沢支持76%」、スポーツニッポンのネット調査でも「首相にふさわしいのは小沢 80%」と「出馬を支持する 82%」という数字が出ているのだ。
これについて上杉氏は、「世論調査がそれほど大事だというのならば、都合のいいデータだけでなく、双方の結果を持ち出さなければアンフェア」と、新聞各社の姿勢を問題視。そして、
「そもそも、首相に世論調査の感想ばかり聞いたり、世論調査の数字のみを根拠に政権を批判したりするのは、日本のメディアだけに見られる特有の現象」とも述べていた。
※週刊ポスト2010年9月17日号