9月14日に行われた民主党代表選をめぐる小沢一郎氏の動きについて、マスコミの報道は「出馬」「不出馬」と二転三転した。ジャーナリストの上杉隆氏は、このことを「記者クラブの限界」だと指摘していた。
「小沢氏が菅氏との会談後に立候補を表明した8月31日、各紙朝刊は『小沢氏不出馬強まる』(毎日新聞)『小沢氏不出馬で調整』(産経新聞)など、さも小沢氏が不出馬へ動いているかのような見出しを打った。ところが、結果はご覧の通りだ」
ではなぜ、このような誤報が蔓延し、マスコミは国民をミスリードしたのだろうか? 上杉氏はこう語る。
「鳩山グループの平野博文氏、小沢グループの山岡賢次氏といった、当事者でない議員たちが、自分に都合のいい『リーク情報』を記者クラブメディアに流していた。ちなみに、菅陣営においてその役を務めたのは、仙谷官房長官とパイプを持つ野中広務氏であった。野中氏は、現政権にも影響力を持つことをアピールするために、マスコミへのリークを行なった(野中事務所は、「そのような事実は全くありません」と否定)。『小沢氏を最高顧問に』『仙谷氏は辞めるといっている』―こうした、当事者がいってもいない『リーク情報』に乗っかった新聞・テレビは、それを自分たちの作り出したストーリーに接ぎ木していった」
そして、上杉氏は、
「その結果作られたのが、鳩山氏を『キングメーカー』として、小沢氏が『密室談合』を仕掛け、菅氏側にポストを要求したという構図である。ところが、現実は全く違った。鳩山氏は、確かに『痩せた森喜朗』としてキングメーカー然と振る舞おうとしたが、本人が『残念』と語ったように、実際には小沢氏を動かすほどの影響力など持たない、ただの伝書鳩に過ぎなかった」
と分析。「小沢氏は、鳩山氏による密室談合を蹴っ飛ばした」と、その内幕を暴露している。
※週刊ポスト2010年9月17日号