精神科医の町沢静夫氏が、「ここ数年、精神的な病を抱える若い女性が来院することが多くなった。彼女たちの多くは精神年齢が幼く、30代にならないと成熟がなされない」ことを指摘。「社会的な背景が影響している」という町沢氏は、その理由をこう説明している。
「いつまでも親と同居して生活を依存する独身女性がパラサイトシングルと呼ばれて話題になる時代。過保護のまま大人になった女性たちは、わがままで忍耐力がない上、家事もやったことがない。だから、家庭を持てたとしても維持できない」
「社会全体に『我慢は美徳』とする風潮がなくなったことも大きいが、自立の遅れた女性が育児をして、子供の自立も遅れさせる悪循環に陥っている」
それなら、早くから親元を離れ、社会進出を果たしているバリバリのキャリアウーマンはどうか? これについても町沢氏は、
「彼女たちに共通しているのは、仕事の能力は高くても、対人関係の能力が低下している。ここで厄介なのは、彼女たちは人とコミュニケーションを取るのが苦手にも関わらず、孤立を必要以上に恐れる傾向を持つ」と分析。
「一人でランチしている姿を見られるのを恐れるばかりに、わざわざ会社から遠く離れた場所まで足を運ぶ。そんなOLまでいる」というケースを紹介している。
それならどうすれば良いのか? これについて町沢氏は、「そんな八方塞がりの女性たちにアドバイスをするならば、やはり自立心を持ちましょうということです」
と、アドバイス。具体的には「自立=孤立ではなく、外のコミュニティーや人間関係を含んだ自立でなければいけません。もちろん夫や父親の協力も不可欠です。男性は単に威厳を保つだけではなく、社会から学んだ常識やルール、生き様のようなポリシーを妻子に教え、触れ合う努力が大切です」と述べている。
※週刊ポスト2010年9月17日号