胸元に着けておくだけで、1日の消費カロリーを正確に計測し、表示することのできる活動量計。健康関連グッズメーカー・タニタの『カロリズム スマート』は、初代そして新モデルとも立て続けに大ヒットを記録した。その秘密とはなにか。
『カロリズム』と名付けられた製品は09年4月に発売され、年間目標販売台数3万台をはるかに超え、7万5000台も販売された。嬉しい誤算もあった。40代男性をターゲットにした製品だったが、30代女性の心も捉えたのだ。
「そうした女性たちのファッションは胸ポケットのないことが多く、装着方法に改善が求められました。また“もっとコンパクトに”という要望も多数寄せられたのです」
開発陣は、その対応に追われた。
スリム化するためにボタン型電池を2個から1個に減らした。ただ減らすだけでは、稼働時間も半分になってしまう。そこで内部の半導体も徹底的に見直し、省電力化を図った。
最大の難関は、装着方法だった。胸ポケットがない洋服でも胸元に装着させるために、磁石を使ってシャツを挟むように止められる方式を採用した。
こうして、1年足らずで、従来比約40%もコンパクトな『カロリズム スマート』が誕生。今年6月の発売と同時に生産が追いつかなくなるほどの好調な売れ行きを示した。
実際に製品を使ってみた。重さはわずか23グラム。胸ポケットに難なく入れられて、それだけでOK。これで1日の消費エネルギーが計測できるのだ。ある日の記者の消費エネルギーは約2400キロカロリー。
体重を減らすには、摂取カロリーを2400キロカロリーよりも低くする必要がある。それがわかるだけでもありがたい。ここまで詳細な活動量計はこれまで商品化されていなかったのだ。
※週刊ポスト2010年9月17日号