カラオケでデュエットの定番曲といえば、石原裕次郎と牧村旬子の『銀座の恋の物語』(通称『銀恋』)だろう。といっても、裕次郎になりきって歌ったつもりでもどうにもサマにならない人も多いはず。そこで、『カナダからの手紙』などのヒット曲でお馴染み、歌手・作曲家の平尾昌晃氏が、『銀恋』を自然にうまく歌う方法を伝授してくれた。以下、平尾氏の解説だ。
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デュエットの定番です。男性も女性もぜひ覚えておきたい一曲ですね。 デュエットは何でもそうですが、パートナーとフレーズをあわせるだけではなく、気持ちをあわせることを考えないとダメです。銀恋は男女の会話なんです。
女性からスタートして、男性が受け止める。1番、2番、3番とも同じ構成です。そして2人で歌う「東京でひとつ……」につながるわけです。
この歌の指導するときはいつもいうのですが「泪が思わず 湧いてきて」と「泣きたくなるのさ この俺も」は男女とも自分の気持ちで歌うこと。そして「東京でひとつ」からはきちんとリズムをあわせる。
そのためには「東京でひとつー」とあまり伸ばさないで「ひとつ」という感じで、余韻を残すように切るといい。すると自然と息が合ってきます。
その次は心を合わせることです。そのためには時々、お互いが見つめあうといいですね。1コーラスで1か所か2か所くらいチラリと視線を合わせる。すると俄然気持ちが合ってきます。自然と歌も上手に聞こえるというわけです
撮影■渡辺利博
※週刊ポスト2010年9月24日号