いま情報検索の主流は、従来のグーグル型の機械的検索から、SNS型のソフトな検索に移行しつつあるという。とくに、企業にとってはSNSは有望であると、大前研一氏が指摘する。
大前氏によると、代表的なSNSは、今年7月に会員数が5億人を突破した世界最大のフェイスブック(Facebook)、それに次ぐマイスペース(Myspace)、国内ではミクシィ(mixi)、モバイル向けのモバゲータウンやグリー(GREE)などがあり、広義にはツイッターも含まれるという。以下、大前氏の解説。
企業にとってSNSは、広告・広報媒体として非常に有望だ。商品をPRするのはもちろん、経営者が自社の問題点を世の中の人々に指摘してもらい、その解決策も出してもらう、ということもできる。
例えば、ソフトバンクの孫正義社長はツイッターを実にうまく使っている。彼が『ソフトバンクモバイルに何か要望はありますか?』とつぶやく。すると、フォローしている人たちから大量に意見が返ってくる。
それを読んで彼は『ぜひやりましょう』などと再びつぶやく。この『宣言』がどのくらい実現しているのかを検証するサイトまであるのだが、そうやってSNSを活用して世の中を巧みに自分の味方に引き込んでいくことで同社の製品を敬遠していた人たちも『これほど経営者が柔軟ならユーザーになってもいいかな』と思うようになるわけだ」(大前氏)
いずれにしても、今後はSNSを使いこなせる人とそうでない人の間で大きな差がつくことは間違いないだろう。大前氏は、「デジタルディバイド(情報格差)の次のフェーズとして、集団知が利用できるかどうかによる『SNSディバイド』が生まれつつある」と、今後を予想している。
※週刊ポスト2010年9月24日号