スポーツ

茂木健一郎氏「日本はガラパゴスでいい、外国のマネするな」

 脳科学者の茂木健一郎氏は、今年8月末、神宮球場にプロ野球を見に行った。東京ヤクルトスワローズ対横浜ベイスターズ。球場に出かけるのはずいぶんと久しぶりだったこともあり、大いに楽しんだというが、そこで茂木氏が考えたこととは……。

 * * *
「ベースボール」と「野球」は似て非なるものであるとはしばしば言われる。大リーグに比べて、日本のプロ野球の応援が幼い、うるさいという人もいる。しかし、私は、それぞれの国に、それぞれの応援文化があってもいいのではないかと思う。

 野球のやり方についても、日本野球はせこい、日本選手は大リーグでは通用しないと言われ続けてきた。しかし、実際に野茂英雄選手や、イチロー選手、松井秀喜選手が海を渡って向こうで大活躍すると、日本のプロ野球も捨てたものではないということが実力において証明された。

 それぞれの国に、独特のやり方がある。要は、「ガチンコ」で勝負をつける機会が与えられれば良い。そうすれば、独善的にならずに済む。大リーグが主導して始まった「ワールド・ベースボール・クラシック」で日本が二連覇した今、日本の野球がアメリカのベースボールに比べて二流であるという人は、もはやいないだろう。

 7回の裏、ヤクルトのラッキーセブン。アメリカでは、7回のホームチームの攻撃の前に観客が立ち上がり、身体をのばして、『私を野球に連れてって』という歌を合唱する習慣がある。アメリカ人たちが立ち上がった。ぼくも、一緒に立ち上がった。

 周囲の人は傘を動かして『東京音頭』を歌っている。いきいきとした「文化交流」のあり方が、そこにあった。

 自国内でしか通用しない「ガラパゴス化」が進む日本。苦境を脱するために、必ずしも外国の真似をする必要はない。日本のプロ野球は、「ベースボール」と違う道を行って、「世界一」になった。

 要は、ガチンコの舞台で、世界と実力勝負をすることさえ忘れなければ良い。「清く正しい日本野球」のあり方からは、学ぶべきことがたくさんある。

※週刊ポスト2010年9月24日号

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン