ふたりの愛児を部屋に放棄。この夏、大阪で大事件になった二人の子供の殺人・死体遺棄容疑のS子などシングルマザーたちは、実際のところ、どう稼ぎ、どう暮らしているのか。ジャーナリストの山藤章一郎氏がそんなシングルマザーキャバクラ嬢の生活に迫った。
子供を育てながらキャバクラに勤める元・医薬品会社のOL、34歳・リイナ(仮名)の事情。
結婚生活4年。32歳で離婚。いま2歳8か月の長男と暮らす。出身地の愛媛に帰ったが居づらい。子連れで大阪に戻り、就職情報誌で、北新地のキャバクラを探した。「子育てしながら、それなりの金額を得られるのは、水商売しかなかった」。離婚して子供がいるシングルマザー共通の困難である。なんとか生活していかなければならない。
逮捕されたS子は三重県四日市からふたりの子を連れて出てきて育児放棄し、リイナは店からチャリで10分の福島区に家賃10万円の1DKを借りて、子育てする。
子供を寝かしつけてからでないと、働けない。
「託児所にと思ったんですけど。高いし、そもそも空きがない。夜7時から朝3時まで預けて、月に6万。食費、おむつ代、お尻ふきの紙代なんか入れたら9万円近くなるんです。3時までに必ず迎えに行けるかどうかもわからんし。いまは、ウチでなんとか眠ってくれているんで助かります」
最初は貯金と店からの支度金10万円、日払い給料で暮らした。週4日、夜9時から朝2-3時までの平均6時間勤務。
はじめは時給5000円だった。いま8000円。月収、約80万円。週に1度は、アフターがある。7時までには帰るようにしている。
「そらぁ、起きて泣いてるときもあるようやけど、仕方ないわ。一緒に朝ごはん食べてわたしは寝るんです。子供はかわいい、大好きです。起こされるときもあるし、病気もするけど、暴力ふるう稼ぎの悪いダラ亭主と一緒より気持ち楽です」
3歳になったら幼稚園に通わせたい。収入の半分を貯金している。水商売やフーゾクに勤めながら子育てしている人は多くいると、リイナはいう。
※週刊ポスト2010年9月24日号