既にツアー5勝を挙げた宮里藍(25)が米国女子ツアー賞金女王獲得に向け、ラストスパートに入っている。渡米から3年間、結果を出せなかった宮里だが、絶大な信頼を寄せる女性メンタルコーチ、ピア・ニールセン氏の指導をきっかけに好調を取り戻し、今季の大ブレイクに繋がった。
ところがここに来て、その好調に“暗雲”がたれ込め始めたという。ゴルフ専門誌記者の話だ。
「最近、ニールセンコーチの元に、“私も見てほしい”と他の女子プロが殺到しているんです。今年の宮里の大活躍を見れば、一度は見てもらいたいと思うのも当然の心理でしょうが、これを露骨な“宮里潰し”と見る向きもある」
現在は、宮里に加え、スサン・ペテルセンやヤニ・ツェン、そしてミシェル・ウィーといった強豪選手たちが、続々とニールセン門下生になっているのだ。特にペテルセンとツェンは、宮里の賞金女王を脅かすライバルである。ゴルフ専門誌記者が続ける。
「ハイレベルな試合となると、上位選手の技術にほとんど差はないから、勝敗を分けるのは精神面での戦いとなる。皆が同じ指導を受けると宮里はアドバンテージがなくなってしまう。元々メンタルの弱さを指摘される宮里にとって、これは非常に痛い」
また、最近はギャラリーも敵に回りつつある。米紙コラムニストが語る。
「これまでは宮里の愛らしさも手伝って、温かい声援がありましたが、米国ツアーのギャラリーが望むのは、もちろん米国人の勝利。強すぎる宮里への声援はだんだん少なくなっています。もともと日本人や韓国人は人気がありませんからね」
師匠を“強奪”されても女王の座を死守できるか。宮里は、プロゴルファーとしての真価を問われる段階に来ている。
※週刊ポスト2010年9月24日号