「お友達グループ」では学級会政治と官僚支配を打破できないあえて言う、民主党よ「派閥」を作れ――と言うのは作家の大下英治氏だ。同氏は自民党の派閥には「真の政治家を育てる学校」の役割があったことを見逃してはならないと指摘する。そして、民主党の問題を指摘する。
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(民主党には)野党暮らしの中で、独自に“お勉強”を重ね、「政策通」と呼ばれる人はいる。しかし、政権与党になると、個人の勉強はあまり役に立たない。官僚と渡り合う戦術を知らないからだ。
それは、小沢氏や菅氏のようなベテランが前原誠司氏や原口一博氏らの中堅に、そして中堅は1-2回生たちに「実戦の戦術」を教えるシステムができていないことに起因する。
「結束が堅い」といわれる小沢グループも例外ではない。小沢氏は「日本一新11基本法案」をはじめとする政策を掲げ、自身の政治塾などでも後身たちに語っている。だが、一新会が政策集団であるという印象はない。メンバーが学んでいるのは選挙戦術ばかりで、小沢氏の政策をどれだけ理解しているのかは甚だ疑問だ。
凌雲会(前原グループ)や花斉会(野田グループ)に至ってはいうに及ばず。凌雲会には前原氏と仙谷由人・官房長官という2人のリーダーがいるが、掲げる主義・思想は全く違う。しかも、両氏で政策論争を展開したという話は寡聞にして知らない。花斉会にしても、「小沢嫌い」というだけで結集しているにすぎない。
これでは、民主党はいつまでも学級会政治を脱することはできない。あえて私が「民主党よ、派閥を作れ」と提言するのは、政策集団として官僚と渡り合う経験を積み、同時に党内で政策を掲げた権力闘争を展開することで、党全体が闘う集団として成熟することを望むからだ。それが国民から「頼もしい」と思われる政党になる近道である。
※週刊ポスト2010年9月24日号