犯罪の事件現場に残された血液や体液、毛髪などからのDNA鑑定、指紋鑑定、犯人の行動を科学的に分析するプロファイリング。これらの科学捜査は科学技術の発展とともに、飛躍的に事件解決に貢献している。すでに欧米の捜査力を凌ぐ日本警察の科学捜査力をジャーナリスト、田村建雄氏がレポートする。
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犯罪の性質や特徴から行動科学的に分析して犯人の特徴を推論する犯罪プロファイリング。欧米では広く知られる犯罪捜査手法だが、最近は日本の警察でもプロファイリングが活用され、事件解決に大きな力となりつつある。
2007年には京都府警が60件の連続強姦魔をプロファイリング、次の犯行が起こる可能性の高い地点をほぼ特定、そこに捜査員が張り込み見事、犯人検挙に至っている。科学捜査研究所(科捜研)の元主任研究員だった関西国際大学の桐生正幸教授はこう解説する。
「日本のプロファイリングのレベルはかなり高い。かつて英国のプロファイリングの第一人者デビッド・カンター氏が来日した折、日本のプロファイリング関係者らと懇談、その質の高さに講演用のパワーポイントの一部を作りなおしたというエピソードがあるぐらいです。
神戸の少年A事件をきっかけに大きく研究が進んできた日本のプロファイリング。最近は動機や事件の質が変わってきている中で、マスメディアによって自分の犯罪がどう扱われるのかを気にする劇場型犯罪者が益々増えてくる気がする。だからマスメディアと犯罪者とのかかわりをどうプロファイリングするかは今後の注目ポイント」
※SAPIO 2010年9月29日号