過去に『渡る世間は鬼ばかり』脚本家の橋田壽賀子さん(85)と、女優の故・山岡久乃さん(享年72)の不仲説が囁かれることがあった。その時は、山岡さんが総胆管結石の手術直後で療養が必要な時期だった。だが、当時山岡さんの病状を詳しく知らされていなかった橋田さんは、マスコミの取材に「病気であることを知ってお見舞いに行こうとしたら事務所から断られた」「山岡さんは私のことがよっぽど嫌いなのだろう」などと語った。98年10月スタートの第4シリーズで山岡さん演じる節子が海外旅行先で急死する、という設定があったのだが、一部では“橋田さんの意見で節子を殺した”と報じられるなど、ふたりの確執が取り沙汰された。確執はあったのか? 橋田さんに聞いてみた。
「確執なんていろいろ書かれたけど、誤解もいいところです。山岡さんとは何十年も一緒に仕事をやってきました。でも、あくまで作家と女優の関係ですから、個人的なおつきあいはほとんどなかったんです。お互いの意見や思いは、プロデューサーの石井(ふく子)さんが取り次いでくれていました。が、正しい情報が私につたわってこなかったってことはいえると思います」
そして、橋田さんは「節子死亡」の真相について語る。
「山岡さんはドラマにはなくてはならない存在ですから、(降板の申し入れに)私も石井さんもあわてました。びっくりしました。それでふたりで説得したのですが、山岡さんの意志は強く、なんともできませんでした。私は幾度も手紙を出して説得したんですが、(返事は)なしのつぶてなので、どうしたらいいのかと悩みました…」
だが山岡さんには、どうしても出演できない理由があった。それは彼女が冒されていた病が“がん”だったからだ。すでにはじまっていたドラマ上で節子が死んだ直後の98年12月、山岡さんは胆管がんであることを公表。闘病生活にはいったのだった。
※女性セブン2010年9月16日号