人間に元来備わる「時計遺伝子」と「体内時計」のメカニズムを利用して仕事に活かせればより効果的なタイムマネジメントが可能になる。 産業技術総合研究所バイオメディカル研究部門で生物時計研究に従事する大石勝隆氏はこう語る。
「起床から出社するまでの早朝は、血管や心臓をコントロールする交感神経系が活性化する時間帯です。脳は体温や血圧の上昇とともに、“冴える”状態になる。脳が働くからこそ企画やプレゼンを起案するクリエイティブな活動に充てたい。また、一日のスケジュールを確認し会議や営業などをどうこなしていくか、具体的にイメージする時間にも適している。学習によって、せっかく目覚めた脳を消耗させるのはもったいない」
なお、出社後の9-12時の午前帯も時計遺伝子は活発に機能している。
メールチェックや精算業務などに忙殺されるのではなく、ブレスト会議やプレゼンテーション、他社への営業などアウトプット中心のスケジュールを組む意識を強くしたほうがよさそうだ。
生体リズムに詳しい国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所で成人精神保健研究部室長を務める栗山健一氏はこう指摘する。「1日で一番体温が高まるのは夕方4時頃です。体温と記憶力や思考力は比例関係にある。学生なら詰め込み式学習、社会人ならば講師を招いた勉強会に最適な時間帯といえます」
ほか、数字が絡む経理などの業務や、午前中に得たアイデアを検討する時間とするのも有意義な過ごし方といえよう。
※週刊ポスト2010年10月1日号