薬物疑惑、野球賭博、「かわいがり」による暴行事件、暴力団関係者との交際……、これでもかとばかりに不祥事が連続した相撲界。元大関・琴光喜(34)までもが解雇されるという異常事態に、多くの相撲ファンがショックを受けたが、彼の姿を再び土俵の上で見られるかもしれない。
「早ければ九州場所から復帰できる。本人はそれを信じて髷を切らなかったし、けいこも続けている」
こう語るのは、野球賭博関与で相撲協会に解雇された元大関・琴光喜の代理人、若新光紀弁護士。若新氏は、
「琴光喜からは解雇直後に相談を受け、処分の理由や経緯について協会に質問状を2回送った。ただ、協会からは明確な答えが返ってこなかった。回答が来るまでに1回目は4週間、2回目は3週間を要しているにもかかわらずです。そんな協会が地裁に対して、解雇処分が正しかったと論理的に説明できるとは思えない。勝てますよ」
と語り、勝つ気満々だ。また、日本大学名誉教授の板倉宏氏はこう見る。
「琴光喜は被害者として聴取されただけで、刑事処分の対象にもなっていない。他の力士との処分に比べても、解雇はあまりにも重過ぎます。5割以上の確率で復帰できるでしょう」
協会が異議申し立てを行なわなければ、即時に原状回復の執行力が生じ、「九州場所に大関での復帰」もありうるという。
復帰が実現した暁には、相撲協会はさらに困った状況に陥りそうだ。実は前記の若新弁護士、同じく解雇になった大嶽親方(元貴闘力)とも親しい関係にあるという。
「うん。琴光喜問題が解決すれば、次は大嶽親方の相談に乗るつもりだよ」
ともに、大関という地位まで登りつめながら、「解雇」という屈辱の処分を受けた琴光喜、貴闘力の2人。しかし、両者とも土がついたかと思いきや、土俵際で粘っていたのだった。
※週刊ポスト2010年10月1日号