柔道世界選手権で怒濤の金メダルラッシュに沸いた日本柔道界は、新たな黄金時代を迎えたかに見える。一番の要因は、何といってもルールの変更にあった。
「タックルまがいの足取りは即反則負け、上半身への抱きつき行為も禁止事項となりました。体格に勝る外国選手のこうした攻撃に悩んでいた日本選手は、これで随分戦いやすくなった」(スポーツ紙記者)
中でも女子48キロ級は、福見友子、浅見八瑠奈、山岸絵美と、世界ランクのベスト3を日本人が占めているほど、際立って層が厚い。
だが、この状況に心が晴れないだろう“選手”がいる。参議院議員となった谷亮子(35)だ。谷は、48キロ級で五輪2連覇を成し遂げた、名実共に日本を代表する選手だったが、最近は小沢ガールズの“顔”として、民主党代表選では小沢一郎氏の応援に東奔西走するなど、すっかり政治家の顔になっている。本人は依然、現役復帰に強い意欲を示しているものの、若手の台頭や、他の日本人選手にとって追い風だったルールの変更が、彼女にとっては向かい風になっている。
元五輪金メダリストで格闘家の小川直也氏も、「谷さんの組まない柔道はもう通用しないのでは」と発言するなど、35歳の年齢と相まって、関係者の間では“谷はもう終わり”というムードが広がっている。
スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏はこう語る。
「柔道の五輪代表は各階級1人で、必ず金メダルを求められる。48キロ級は、これまで連盟がCMなどで集金力のある谷を起用してきたために犠牲になってきた選手もいます。今こそ、新たなスターを誕生させるチャンスです。谷には国会議員に専念し、歳費に見合う仕事をしてもらえばいい」
民主党代表選の時には、「この2週間は練習ができていない」と語っていた谷亮子。2年後のロンドン五輪は代表選同様に“応援団長”かも。
※週刊ポスト2010年10月1日号