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ブームの富士登山 本当にキツイのは登りではなく下り

 年間30万人の登山客が訪れる富士山。民主党の谷亮子参議院議員が、参議院選挙投票日の前日の7月10日に登ったのは記憶に新しいところだ。この富士登山、登りがハードだと思われがちだが、キツイのは、実は下り。記者がこの下りを体験レポート。

「下りるために6割半の体力を残しておくんですよ」と、何度か山岳ガイドさんからいい聞かされていたけど、目先の坂との格闘でいっぱいいっぱいだった記者は、その意味をちっともわかっちゃいなかった。

 気づいたのはマスク、サングラスの“銀行強盗スタイル”で、午後12時に下山を始めてすぐ。下り坂は、登りに比べて呼吸は楽だけど全体重を支える足腰がキツイのなんのって。

 昼ご飯を食べるために寄った本7合目の山小屋「見晴館」で、さっそくオーナーさんに聞いたもの。「次の荷物を運ぶブルドーザーがここまで登って来るのはいつですか?」と。「明日だけど、重病人でもないと乗れないよ」とのこと。

 午後2時15分に「見晴館」を出発したあとは延々と続く「砂走り」の下り道。砂走りとは、ズブズブの砂にゴツゴツの岩が交じっている、とんでもない急斜面だ。富士山の登山ルートは4つあるが、砂走りは、記者が登った「須走(すばしり)ルート」の下山道の特徴だ。一歩進むたびに砂埃が舞い、顔は真っ黒になる。そのための“銀行強盗スタイル”だ。

 そのあと覚えているのはガイドさんに「マスクは取ったほうが呼吸しやすいですよ」といわれたことだけで、砂走りが終わる砂払5合目(標高2300m)に到着した午後5時までの記憶がほとんどない。やっぱり、初心者の登山は甘くないと実感。

 そして、午後5時45分。最後の一段を下りたとき、いままで味わったことのない達成感でいっぱいになった。私、やればできると。山ガールたちも、きっとこれが欲しかったのね。

※女性セブン2010年9月16日号

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