尖閣諸島付近で中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突した事件で、日本は船員14人を帰国させ、船長も処分保留で釈放。一方の中国は建設会社フジタの日本人社員4人を「軍事管理区域侵入した違法に軍事施設をビデオ撮影した」との理由で拘束。日本の弱腰外交が報道されているが、東海大学海洋学部教授で海上保安体制や海賊問題に詳しい山田吉彦氏は「韓国では中国人を年間5000人以上拘束している」という中韓事情を明かす。以下、山田教授の解説。
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こうした領海、EEZ(排他的経済水域)侵犯行為の標的は日本だけではない。中国沿岸で東シナ海以上に海洋汚染が深刻なのが黄海である。そのため中国漁船は黄海を南下して韓国のEEZ内、さらには領海内に侵入を繰り返している。
それに対して韓国の海洋警察庁(日本の海上保安庁に相当)は、中国の密漁船に対して強硬策で臨み、壮絶な“海戦”を繰り広げている。
韓国当局は毎年、約500隻の中国船を拿捕し、身柄を拘束した中国漁民は04年以降で約3万人。年間にして5000人以上である。韓国に拿捕された漁船は3000万-5000万ウォン(約210万-350万円)の罰金を科され、支払わない場合は乗組員が韓国国内で収監される。
昨年9月には、中国密漁船に乗り込もうとした韓国の海洋警察庁職員が、海に転落して死亡する事故が起きた。海洋警察庁の担当者は、「『抵抗する中国漁船には銃器の使用も認める』との指示も出ており、一人たりとも逃さない」と息巻いていた。
※週刊ポスト2010年10月1日号