保護者が育児放棄をしたり、病気や貧困などで育児が困難だったり、虐待などで育てる四角がないなどを理由に、児童相談所や民間団体が保護している0-18才の子供(要保護児童)は全国で約3万8000人いる。
里親制度は、そんな子供たちを、実の親に代わって育てる制度のことだ。養子縁組とは違い、里親は法律上「親」となるわけではなく、住民票上の続柄は「縁故者」として記される。
つまり、里親として子供を育てる場合、親権は実親に残ったままで、里親はあくまで子供を一時的に預かる「同居者」という立場となる。
「養子縁組は戸籍上も親子関係を結び、一生親子関係を続ける制度。一方の里親制度は戸籍上は他人で“一時的”に子供を預かる制度のため、審査基準などに違いがあります」(里親制度を担当している東京都育成支援課)
東京都児童相談センターの担当者はいう。
「里親を希望するかたの半数は、実の子供がいないけれど、養子縁組は認められず、それでも子供を育てたいというかたです。残りの半数は、実の子供もいるけれど、社会貢献のために子供を預かりたいというかたです」
実際、里親を希望する場合は、各地方自治体の児童相談所か民間のあっせん団体に申し出る。
諸条件は各自治体で異なるが、東京都の児童相談所の場合は、里親を希望する人は必ずしも夫婦である必要はなく、「25才以上65才未満」が条件となっている。その他に、収入、自宅の床面積や間取りなどの条件を満たすと、児童相談所に預かりたい子供の性別や年齢を伝えたうえで、里親になるための4日間の研修を受け、家庭調査が行われる。
調査内容を都の認定部会が審査したうえで里親として認定されれば、子供を預かることができる。その後は2年ごとに預かり期間が見直されていく。
東京都児童相談所では昨年度は里親を希望する105件の申請があったうち、102件が成立している。それでも里親を必要とする子供のうち、成立しているのはごく一部。全国で児童相談所などが保護している子供は約3万8000人いるのに対して約3900人の子供しか里親に預けられていない。
「子供に恵まれない夫婦の多くは、子供を預かるのではなく、“わが子として小さいころから育てたい”という希望を持っています。そのため里親ではなく養子縁組を望むケースが多いのです。また、一度預かっても“やっぱり難しい”と話が破談になることも少なくないのです」(前出・東京都児童相談所)
※女性セブン2010年9月30日・10月7日号