1996年のNHK紅白歌合戦で審査員を務めた落語家の桂米朝氏。テレビ画面には映らなかった破天荒な審査員ぶりを、その時一緒に審査員を務めた作家・大石静氏が明かしている。(週刊ポスト2002年1月4日号より)
「『4時間もタバコ吸われへんのは、困りますなー』と、師匠は本番前にボヤいておられたが、本番が始まると、スヤスヤとおやすみになり始めた」
「それでも、師匠は紅組司会の松たか子さんにコメントを求められると、絶妙のタイミングでパチッとお目覚めになり、それは見事なコメントを述べられ、再び眠りに入られた」
「この余裕、この大らかさ、『さすが人間国宝だ』と、周防(正行)監督は感嘆のつぶやきをもらし、私は、師匠が何かの拍子に足元に落としてしまった大型ペンライト(ラッツ&スターの時に振ったもの)を、四つんばいになって拾ったり、今思うと96年の審査員席、下手よりの3人は、かなりハチャメチャだったような気がする」
さすが、人間国宝。