「消費税率を10%に」といわれたらそれだけで血圧が上がる人が多いだろう。だがその見返りに、毎月給料から天引きされる所得税と地方税をタダにする、といわれたらどうだろう。2010年の参議院選挙で菅直人総理は「消費税は10%が望ましい」と発言していたが、実はこの10%、すでにライフコーポレーション清水信次社長により、1993年に問題提起されていた。以下、清水氏の発言だが、あなたはどう受けとめるか――。(週刊ポスト1993年9月24日号より)
流通業の経営者である僕が“消費税10%”なんていうと、かなりの拒否反応もあるだろうが、年間課税所得が1000万円以下の人には、所得税も、地方税も、いかなる直接税も、いかなる直接税もかけない。国税と地方税はゼロにするわけです。
そのかわり、消費税は10%払ってもらう。消費税をいっぱい取られるのがイヤな人は節約すればいい。100グラム300円の肉を買わずに、150円か200円の肉でガマンすれば、払う消費税は少なくてすみます。
国際的に見ても、消費税10%というのは無理がない。ヨーロッパの付加価値税率をみてもらえばわかるように、ドイツが15.0%、イギリス17.5%、フランス18.6%、イタリア19.0%と、10%にしてもまだ低いほうなのです。
私が試算したところでは、平成5年度(1993年)の予算ベースでみると、現在3%の消費税で6兆8000億円あまり。これを10%にすれば単純に計算して22兆7000億円の税収になる。一方、同年度の所得税収見込みは27兆4000億円で、このままでは5兆円ほど足りなくなるが、この5兆円のマイナス分は、次の2点でクリアすればいい。
まず、消費税の優遇措置の完全撤廃。具体的には免税業者、簡易課税制度、限界控除制度の全廃です。これらの優遇措置は「益税を生んでいる」との指摘もあり、税の公平性を保つためにも、全廃が望ましい。むろん、それによって税収も増えるわけです。
非課税品目(土地譲渡、保健医療費、教育費など)も撤廃すればいい。
次に所得税では、年間課税所得が1000万円を超える人は地方税を含めて最高税率50%まで(現行所得税50%、地方税15%)、税金を納めてもらう。
そして所得税も相続税も法人税も、3税とも最高税率は地方税を含めて50%にする。つまり、最高に税金をとられても半分は自分の手元に残るようにする。
五公五民。これが基本です。
将来の消費税率アップをセットした、一時的な所得税減税でごまかされちゃいけない。
「所得税ゼロ、消費税10%」くらいの抜本的な税制改革をやらなきゃ、僕は日本再生はない、と考えているんです。