厚生労働省の推計によると、日本で200万人を超える高齢者が罹患している認知症。もちろんすべての人が認知症になるわけではなく、認知症に「なりにくい人」も存在する。(週刊ポスト2009年9月12日号より)
認知症に「なりにくい人」の特徴について、興味深いデータがある。2000年に発表された米国人研究者の論文で「インド人の(認知症の原因となる)アルツハイマー病の発症率はアメリカ人の4分の1」という報告がされているのだ。
ここで、「カレー好きは認知症になりにくい」と、指摘をするのは順天堂大学大学院の白澤卓二教授だ。
「カレー粉には様々なスパイスが使われていますが、中でもウコン(ターメリック)の成分であるクルクミンには、認知症予防に効果があることがハツカネズミの動物実験で確認されています。インドカレーは、欧風カレーの約6倍のクルクミンが含まれているという調査データがあります。インド人に認知症が少ないとすれば、理由はそのあたりにありそうです」
市販のカレーにもクルクミンは含まれているので、「ご飯をターメリックライスにしたり、カレーと一緒にウコン茶を飲めば多く摂取できます。ただし、摂りすぎは肝機能障害に繋がるリスクも指摘されているので、“毎食インドカレー”というのはやりすぎでしょう」(白澤氏)とのこと。
一方、諏訪東京理科大学の篠原菊紀教授は、麻雀の有効性を説く。
「『頭を使う』、『手先を使う』、『人と話す』機会の多い人は認知症になりにくい。麻雀はその3つの要素を満たしています。日本健康麻将協会の委託を受けて、高齢者のプレー中における脳内血流の変化を調査しましたが、特に記憶を司る前頭葉で血流が増加するとの実験結果が出ています」
東京・品川区では日本健康麻将協会と共同で、認知症防止を目的に「いきいき健康マージャン広場」を催している。“教室”に通う80代女性はこういう。
「これがなかったら何もせず家にいるだけ。最近はテレビの録画コードを覚えられるようになった。もっと若い頃からやっていればよかった」
カレーに麻雀……。思わぬことが認知症対策になるのかもしれない。