「熟年離婚」など、夫婦を取り巻く環境が激変している。そんな中、『おしん』『渡る世間は鬼ばかり』などの人気ドラマの脚本家・橋田壽賀子氏が夫婦が添い遂げるための極意を語った。(週刊ポスト2008年8月29日号より)
「熟年離婚、多いですよね。みんなせっかく結婚したのに、もったいない。家に例えれば、古くなったからと言って取り壊して更地にするようなものでしょう? そう簡単に新しい家は建てられませんよ。古い家も、リフォームすれば見違えるように住みやすくなるように、夫婦も、上手にリフォームしていくことが大事ですよね」
「もっとも、男も女も機嫌が悪くて、どうしてもいい態度をとれない時もあるでしょう。そういう時は、互いに手紙などを書いたりすればいいんですよ。泉ピン子さんのところは、仕事ですれ違うことが多いので、黒板でやり取りするんですって。昨日、何について腹が立ったとか、夕べはありがとうとか書く。すると御主人も、返事を書いてくるんですって。黒板というのが、微笑ましくて、笑っちゃいますよね」
「書くというのは、しゃべることとは違います。口では照れくさくていえないことも、書くときには非常に素直になれる。今はメールがあるから、どなたでもできるでしょう? 相手がすねているときには、面と向かって機嫌を取ると逆効果になることもあります。そんな時は、『何怒ってるのかな。僕に教えてよ』とか、『今でも君が好きだよ』っていうメモやメールの一言が効くんですよ。素直に受け取れて、心に響くものです。主人が亡くなった後、財布の中に最後に私が渡したメモが2-3枚入っていました。ああ、この人、大事に取っておいてくれたんだなって、思いましたよ」