結局は役人のいいなりか、と早くも失望感が広がる菅政権。無差別大増税が始まろうとしている。
まずは、総務省。12年4月の導入を目指しているのが軽自動車増税だ。現在の自動車税は排気量1000cc未満の小型自動車が年間2万9500円なのに対し、660cc未満の軽自動車は7200円と低くなっている。政府はこの9月までエコカー補助金制度で国民に燃費のいい車への買い替えを奨励し、補助金の適用を受けて販売された軽自動車の台数は約100万台にのぼる。
ところが、同省はエコカー補助金を打ち切った直後の9月15日に、「自動車関係税制に関する研究会」の報告書を発表し、その中で、小型乗用車と軽自動車の燃費の差はほとんどないとして、税率一本化の方針を提言した。軽自動車にリッターカー並みの税率が適用されれば、税額は一挙に4倍近くに跳ね上がる。
国民に「エコだから」と買わせておいて、今度は、「たいしてエコじゃない」と増税を言い出す。悪徳商法そのものだ。軽自動車のエコカー補助金は5万円だったから、増税すれば、政府は補助金分を2年あまりで回収し、3年目からは丸儲けになる。
この増税は地方の住民を直撃する。全国に約2600万台ある軽自動車の6割は、公共交通機関の便が悪い人口10万人未満の市や郡部で保有され、ユーザーの大半は女性と高齢者。 そうした層から、容赦なく税金を絞り取ろうというのである。なぜ、「弱者の味方」のはずの左翼政権からこんな増税方針が出てくるのか。民主党のある政調幹部はこう解説する。
「総務省の目的は自動車にかかる複雑な税金を一本化して全部地方税にすること。軽自動車増税に加えて、乗用車よりはるかに税金が安い営業車の税率引き上げも検討することになっている」
※週刊ポスト2010年10月8日号