球界を代表するスターといえば、「ON」の名前が取り沙汰されるが、実はノムさんこと野村克也氏も相当な実績を作っている。通産試合出場は日本一で、本塁打数は王に続く2位。それなのに注目されるのはいつもONばかり。そんな野村克也氏が「天敵・長嶋茂雄」を初めて語った。(週刊ポスト2004年5月14日号より)
野村氏は2004年段階ではまったく交流はなかったというのだが、現役時代は一緒に遊んでいたのだという。
「たしか、日米野球の時に金田正一さんの音頭で麻雀をしたことがありました。私も強い方じゃないんですが、長嶋監督の人柄か、私以上に強いとは感じなかった。しかもマイペース。麻雀に関しても“野生のカンを大切にする人だなァ”と思いましたね」
さらに、捕手だった野村氏は打者に対して「囁き戦術」を仕掛け、打者を惑わしていたが、そのネタは銀座や北新地で拾っていたという。
「王の打席の時に『○○ちゃん元気?』と囁いてやると王は大きな目をギョロッと開いて動揺していましたけど、長嶋に『最近、銀座に行ってるの?』と囁いても『ノムさん、このピッチャー、どうなの?』『いくつぐらい勝ってるの?』などとマイペースにバッターボックスで喋るばかりで会話が噛み合わなかった。(中略)その集中力たるや凄かった。私の囁き戦術もまるで効果がなかったですね」
実は、天敵と言われがちだったこの二人にもこうした交流があったのだ。