数多くのテレビドラマ、映画、舞台で活躍した女優・池内淳子さんが9月26日、肺腺がんのため死去した。76才だった。そんな池内さんの秘話を紹介。12年前のインタビューでは、実母の介護についてこう語っていた。(女性セブン1998年7月9日号より)
98年放映の女ばかりの3世代同居世帯の日常生活をコミカルに描いたNHK朝の連続テレビ小説『天うらら』。最高視聴率30%を記録し、快調に回を重ねているこのドラマは、大工修業に励む主人公の成長を追いながら、介護問題や恋愛問題など“家庭の悩み”を織り込んだもの。
これまで家族のことなど私生活についてあまり語ることのなかった池内だが、「母の介護は、神様が与えてくれた試練だと思っています。還暦を迎えた年になっても母がいるのはありがたいことです」。
池内の介護歴は今年(98年)で7年。母が寝たきりになった原因は家の中で転んだ拍子の大腿骨骨折。手術をしたものの自力では歩けなくなってしまった。自分が介護に初めて直面したときの気持ちを聞いた。
「骨が折れて歩けなくなってしまったときには、どうしようかなぁと思いましたよね」
母親には1日でも自分のそばで長生きしてほしい。そんな思いから在宅介護を決断。
「うちの母は、背中は曲がっていますけど、普段はベッドの上でちゃんと腰かけているんですよ。食事もゆっくりと自分でスプーンを使って食べます。」自分でできることは自分でやらせる――それが池内家の介護方針。
池内は、介護者の立場にある人たちに、こんなアドバイスをする。
「介護する人は、決して無理をしないこと。共倒れしてしまったら、お互いにみじめですからね」
インタビューの最後に、池内に自身の将来設計についてたずねてみた。いまは母親を世話する側だが、現在、独身の池内には子供がいない。
「ある程度は考えていますけど、ちょっと申し上げたくないです。でも、心の準備は若いうちからしておくべきだと思います」