「大勲位」中曽根康弘氏は、坂本龍馬が死の直前に起草した「船中八策」により、やはり彼は一介の武弁ではなく革命家であったのだなと、非常に感心したという。(週刊ポスト2010年1月8日号より)
「いつの世にも時代が人をつくり、龍馬もまた時代が産んだといえる。平成という時代もおそらく人を作っている。ただ価値観の継続性を断絶して全く新しいものを作る段階までは熟成してないですね。
ある価値観が行き詰まると、最初はかなり奇矯な思想も出てくる。それらが次第に純化されていくものなんですが、今は変化に対応しうる改革思想もなければ危険思想すらない。右も左も平均化して、凡人の腕比べみたいになっていますね。
それだけに龍馬のような人物が待望されるのでしょうが、時代が人を作る以上、そこは待つしかない。まして現代は追いつけ追い越せの時代ではなく、自らの外ではなく内を見つめた自己改革によってしか平成維新は果たしようがない。
現代の社会生活や政治方式など、ありとあらゆるものの自己刷新が今以上の切実さで求められて社会変動に進むとき、現代の龍馬は現われるのかもしれません」