読売グループの渡辺恒雄氏は常々政治、プロ野球などの発言でも注目される存在だが、病気やケガで注目されることもあった。(週刊ポスト2004年8月27日号より)
1998年、渡辺会長は前立腺がんの全摘手術を受けたが、退院後、東京ドームに現われた際に詰め寄ってきた記者たちに恐れをなして大声でこう叫んだ。
「キミたち、頼む。何でも話すから携帯電話の電源を切るまでオレに近づかないでくれ。オレの体にはペースメーカーが埋め込まれているんだ!」
報道陣はいわれるままに電源を切って渡辺会長を取り囲んだが、その後、渡辺会長が身につけていたのは携帯電話の影響など全く受けない不整脈の測定器であることが判明。それだけに当時のおののきぶりは、いまだに語り草なのである。
2000年には自宅内で転倒、骨折する事故があった。愛鳥家として知られる渡辺会長自身が当時、番記者たちに語った説明。
「うちの庭にカラスが来てな、九官鳥を狙おうとするんだ。それで電動銃でダダダッと撃ったらカラスが落ちて、とどめを刺そうとベランダから飛び降りたら芝生の上にスッテンコロリン」……。
その上で「石原都知事にカラス退治を直々にお願いした」と、さりげなくその人脈を誇示してみせることは忘れなかったが、庶民派の一面も見せるから面白い。