最近の総理は「~させていただく」といい過ぎている。総理大臣たるもの、もっとエラソーにしてもいいのでは。今こそ、昭和の総理の「態度のデカさ」を見直したい。
例えば、昭和の名宰相・吉田茂は、当時、米国が進める賠償金なしの対日講和に納得しないフィリピンに対して、「日本は毎年、フィリピンから台風を寄越されて多大な被害を被っているので、むしろ日本が賠償金を欲しいぐらいだよ」という危険なジョークを吐いた。現在なら、こうした発言がマスコミの格好の餌食になることは、火を見るより明らかだ。
吉田のことを記した『態度がデカイ総理大臣 吉田さんとその時代』(バジリコ刊)の著者、早川いくを氏は、吉田茂のことを「自分の主張を当意即妙なユーモアを交えたトークで伝えることができた人。それが、日本の国際的地位を高めることを知っていた」
と説明する。
早川氏は「最近の総理には国際政治の場でトークのうまい人が見当たらない。情報発信やアピールが苦手だから、日本は何を考えているのかわからないといわれるのです」と、吉田を改めて評価している。
※週刊ポスト2010年9月17日号