2009年の政権交代で強大な権力を手にした時点で、民主党はどこへ向かおうとしていたのか。小沢一郎氏は何を目論んでいたのか。高崎経済大学教授の八木秀次氏が警鐘を鳴らしていた。以下、八木氏の談。(SAPIO 2010年2月10日号より)
選挙は小沢にとって自らが権力を握るための手段でしかない。そのためなら何でもする。どんなことでも言う。マニフェストの中身はどうでもよい。
最近、小沢や側近は日米中の正三角形の関係ということを言い始めた。普天間基地の移設問題で日米関係がギクシャクしている最中に600人以上を引き連れて訪中し、天皇陛下と習国家副主席との特例会見も実現させた。
そんな中で小沢側近の山岡賢次国対委員長は「日米関係が基地問題で若干ギクシャクしているのは事実だ。そのためにもまず、日中関係を強固にし、正三角形が築けるよう米国の問題を解決していくのが現実的プロセスだと思っている」と発言している。これは京都大学教授の中西輝政氏も指摘しているように、米国とも中国とも友好関係を築いていこうという意味ではなく、日中関係を強固にしてアメリカに対峙するということであり、日米同盟から日中同盟へのシフトチェンジを意味している。
そしてこの状況下でマニフェストにも書かれていない永住外国人参政権付与法案の通常国会提出だ。永住外国人問題の本質は現在では、特別永住権を持ち本国への帰属意識の希薄な在日韓国・朝鮮人問題から、一般永住権を持ち本国への帰属意識の強い在日中国人問題にシフトしている。
要するに中国国籍の人々に日本の地方行政を左右する参政権を付与するということだが、次には被選挙権付与や国政の参政権付与が控えている。民主党政権の成立によって、“日中同盟”に加えて中国人が日本の主権に関与する事態が訪れているのだ。