菅直人首相と小沢一郎氏が争った民主党代表選では、子ども手当の満額支給(1人2万6000円)を掲げた小沢氏が敗れ、菅政権で半額支給の政策が続くことになった。
その一方で、「満額支給」を前提に議論されていた所得税の扶養控除と配偶者控除の廃止はしっかり2011年から実施される見込みだ。この増税は中高年世帯を直撃する。
夫婦と中学生以下の子ども1人、妻は専業主婦という世帯では、年収約550万円以上は子ども手当をもらっても増税による負担増の方が大きくなる。さらに子どもが高校を卒業し、専業主婦がいる中高年世帯にはストレートに負担増だ。
そのうえ、政府税調は、「所得の再分配」を名目に所得税の累進課税強化の方針を打ち出しており、所得税の最高税率(現在40%)が引き上げられそうだ。
これも実は財務省の宿願で、小泉政権時代にやろうとしたことだが、あの小泉氏でもさすがに国民の反発を恐れてやらなかったものだ。「子ども手当のため」は口実にすぎない。
※週刊ポスト2010年10月8日号