「2015年には認知症患者は300万人を超える勢い」という話もあるが。これまで30年間にわたり、数千人に及ぶ認知症患者を診察してきた湘南長寿園病院(神奈川県藤沢市)のフレディ松川院長によると、ボケと職種には関連性が高いという。
「私が数多くの患者さんを診てきた経験からすると、公務員や教師、サラリーマンでも事務系の人はボケる確率が高い。公務員の場合、生活が安定していて競争意識が低く、“上からいわれたことを黙々とやっていればいい”と考えている人が他の業種に比べて多いように思えます。人にいわれたことを機械的にこなしたり、毎年同じようなことを繰り返す仕事は脳が刺激されず萎縮してボケやすくなる傾向があるのです」(松川院長)
逆にボケにくいとされるのは政治家。サラリーマンでも、事務系とくらべると営業系の患者は比較的少ないという。
「いい悪いは別にして、政治家は権力欲や名誉欲、金銭欲といった意欲のかたまりで、脳内を常に旺盛に刺激し続けている。営業マンも企画、立案、相手との交渉、説得など、脳のいろいろな分野を使っている。また営業マンはリタイアした後も、上手に人付き合いができる人が多く、ボケにくい理由のひとつになっています」(松川院長)
ならば、ボケを防止するにはどうしたらよいのか? 松川院長は語る。
「遊びでは麻雀や競馬、カラオケ。料理をする、電車やバスに乗って外出する、地域の人に挨拶をして積極的に交わることも効果的です。さらにいいのは、恋をすることですね。“この人、素敵だな”とか“好みのタイプだな”と思った異性を見つけると、“ときめき”が脳に大量の血液を流し、ボケを防いでくれます」
※週刊ポスト2010年10月8日号