北朝鮮・金正日の後継者が三男・金正恩に内定したと報じられた。果たして今後日朝関係はどうなるのか? ジャーナリストの櫻井よしこ氏は、「忘れてはならないのは、『北朝鮮問題』はすなわち『中国問題』であるということです」と指摘する。以下、櫻井氏の解説だ。
*****************************北朝鮮有事となれば、中国は確実に介入してくるでしょう。中国は2003年頃から「高句麗は中国の一地方政権だった」と主張をし始めました。かつての高句麗は北朝鮮の領土とほとんど重なります。つまり中国は「北朝鮮は自国の領土だ」という伏線を張り、それを「東北工程」という研究の形にして、理論化してきたのです。
東北工程とは、中国東北部の研究という意味です。有事の際には、中国がこうした主張を展開して北朝鮮に進軍して“平定”し、領土を支配する恐れもあるわけです。
韓国の戦略専門家たちの中には、中国には朝鮮半島に対する領土的野心はないと見る人々が多いのに気付きます。しかし中国は、豊かな鉱物資源を持つ北朝鮮に対し、直接統治することはなくても、支配下に置こうとすることは間違いないと考えるべきです。中国の意図を過小評価するのは危険なのです。
※SAPIO 2010年10月13・20日号