夏から秋となり、大学生の就職活動も本格化する。そして、その主役は3年生だ。そうした早すぎる就職活動に、脳科学者の茂木健一郎氏は異議を唱える。茂木氏の主張とは…。
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年々、日本の就職活動が早まっているらしい。3年生の秋からエントリーし、説明会などが始まると聞いていたが、最近では3年の夏休みにもう「インターン」という形で企業と関わるらしい。
早すぎる就職活動が大学での学びに重大な影響を与えている。学問が一番面白くなる時期に、就活に時間をとられる。授業やゼミがうまく立ちゆかなくなると聞く。
内定が出てから、ようやく落ち着いて卒業研究などに取り組む。これでは本末転倒である。
企業の不可解な「新卒偏重」がこのような事態を招いている。年齢制限があるのに加えて、「卒業見込み」でなければそもそもエントリーできないという会社も多い。
このため、「新卒」という「資格」を失うまいと、就活のためにわざわざ留年する学生まで出てくる。日本ならではの、シュールで不条理な風景がそこにある。
※週刊ポスト2010年10月8日号