8月に中朝国境地帯が豪雨に見舞われ、国境の川・鴨緑江が氾濫するなど洪水被害が深刻化。北朝鮮はただでさえ毎年100万トン以上の食糧が不足しているところに、国境地帯の新義州市では住宅や農地が浸水するなど、今年は食糧不足が深刻化することが明白になった。天安門事件のスクープ報道で知られるジャーナリストで、国際教養大学教授のウィリー・ラム氏によれば、このため、金総書記は食糧支援の緊急性を説明するため、訪中を行ったというのである。以下、ラム氏の解説。
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中国側は食糧不足に悩む北朝鮮に配慮して、金総書記を吉林農業大学や隣接する農業博覧会に招待。同筋によれば、金総書記は、中国の人工衛星に乗せられて宇宙空間で過ごした農作物の種を植えて育てた「宇宙野菜」に非常に興味を示したという。
重さ100㎏のカボチャや10㎏のトマト、長さ25㎝の唐辛子など巨大な野菜を見た総書記は「これは何人分?」などと熱心に質問し、いくつかの作物の種を受け取って、中国の技術指導も要請したという。
まさに、北朝鮮の深刻な食糧不足を物語っている。とうとう金総書記も深刻な食糧不足を前に、中国側に骨抜きになってしまったと言えなくもない。
※SAPIO2010年10月13・20日号