尖閣諸島問題でこじれにこじれている日中関係。非難されるべきは中国側なのか、日本側の対応なのか?
もちろん、最初に批判されるべきは菅直人・首相である。領海侵犯した中国船の船長を、怒る中国にビビッて釈放しておきながら、「検察が判断した」「証拠ビデオは見ていない」と逃げ回り、「弱腰だ」と追及を受けると、今度は「国内法に基づく手続きへの中国の反応は問題だ」と豹変する。
どうせ誰かが書いた答弁書を棒読みしているだけだから、自分が何をいっているのか考えたこともないのだろうが、この言葉が政権の外交オンチぶりを象徴していることに、彼らは気づかない。
日中関係筋が興味深い指摘をする。
「首相はじめ、政権中枢は口を揃えて『国内法に基づく対処だから中国の抗議は不当』というが、実はこれが問題の発端だった。どちらに理があるかは別として、尖閣諸島は中国も領有権を主張している場所。だから、日本が『国内法で処理する』といっているのを見逃せば、主権を放棄したことになる。あちらの視点でいえば、『中国の領土に日本の船が侵入し、同胞を拉致した』という解釈になるから、『謝罪と賠償を求める』という姿勢は当然になる」
外交では軽々しくモノをいってはいけぬ、という例である。
※週刊ポスト2010年10月15日号