10年連続200本安打という偉業を成し遂げたシアトル・マリナーズのイチロー(36)。 日本では「他の追随を許さない金字塔」(9月25日『日刊スポーツ』)「おめでとう!日本の誇り」(同日『サンケイスポーツ』)と大々的に報じられたが、現地の米メディアの反応は淡々としたものだった。
ある在米スポーツジャーナリストが話す。「シアトル以外ではどこの新聞を見たって、取り扱いは小さかった。メジャーではプレーオフ進出争いで白熱している最中。個人記録の話はアメリカでは話題に上りづらかった」
だが、米国でのイチロー人気がイマイチ盛り上がらないのはなぜなのか。『シアトルタイムス』のコラムニスト、スティーブ・ケリー記者は、イチローにロングインタビューしたドキュメンタリー監督ケン・バーンズ氏の弁を借りて、こう記した。
<イチローはまるでグレタ・ガルボのようだ。自分のイメージに、非常に気を配る選手である>
グレタ・ガルボとは、1920~30年代にハリウッドで活躍した美人女優。自分の美しいイメージを守るため、36歳で引退してから亡くなるまで一度も公の場に姿を現わさなかったことで知られる。米国の野球ファンにとって、イチローにそんな「取っつきにくいイメージ」がついていることは事実なのだろう。
傑出した選手であることは認めるけど、たまには愛嬌のあるところも見せてほしい、というのが、日米ファン共通の本音かも。
※週刊ポスト2010年10月15日号