北朝鮮有事の際、敵地へ切り込んで行きミサイル基地爆撃などの重要な役目を果たすのが戦闘機だ。しかし、日本の自衛隊が持つ主力戦闘機F15ではベストではないと田母神俊雄・前航空幕僚長は指摘する。以下、田母神氏の解説。
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進むべき道は、国産戦闘機の開発である。防衛省の技術研究本部では、1990年代から「先進技術実証機(ATD-X)」というかたちで国産戦闘機の構想を温め、ステルス性や高い運動性能の研究を続けてきた。
2009年度予算で初めて試作機の開発が認められ、三菱重工を中心に2011年の初飛行を目指している。この実証機は心や精神を意味する「心神」と名付けられ、あくまでステルス性などの実験のためのものだが、国産戦闘機開発へとつながる可能性を秘めている。
日本に戦闘機が作れるのか? という声もあるが、我が国政府が開発費を投入すれば10年で開発できる。実はF22のステルス性能を確保するためにも日本産の材料が使われている。また、F2の日米共同開発経験やF15のライセンス生産などで一定の技術はある。日本の技術で世界に通用する戦闘機が作れないわけではないのだ。
どの国であれ、抑止力となる強力な軍事力を保持しようとするなら、自国開発しかない。当然アメリカは日本が国産戦闘機を開発しようとすれば、これを阻止するため猛烈なロビー活動を展開するであろう。しかし、日本政府は外圧に屈しないで、堂々と国産戦闘機の開発を進めてほしい。
※SAPIO2010年10月13・20日号