「今日で、しばらく会わなくなるねぇ。さみしいねぇ…」
たばこ1箱あたり60-140円の大幅値上げが行われた10月1日の前日、9月30日の午後3時すぎ、東京・神田にある創業99年目の老舗たばこ店で、82才の女性店主と50代の男性常連客のこんな会話が聞こえてきた。
「家には何カートン?」
「10カートンだから、3か月もつかな。また顔見せるよ」
一度では重くて持ちきれず、自宅にたばこを持ち帰っては、再度買いに来る客の姿も。閉店時間まで客足がとだえることはなかった。
「9月の売り上げはいつもの月の6倍。忙しくて、店内は仕入れたたばこで足の踏み場もないくらい。まあ、もう年内は閑古鳥だわね」(店主)
同日午後11時すぎ、東京・六本木の居酒屋では、「うー、やっぱりおいしい」 と女性会社員がたばこを吸える部分が2ミリメートルになるまで吸っていた。「明日から禁煙、これが最後の1本なんです」
今回の値上がりを受けて行われた喫煙者へのアンケート調査では、「続ける」と答えた人が47%、「やめる」と答えた人は53%だったという。たばこ店にとっては厳しい現実が待っているようだ。
※女性セブン20101年10月21日号