経営コンサルタントの大前研一氏とファーストリテイリングCEOの柳井正氏が上梓した共著『この国を出よ』(小学館刊)。同書がテーマとする日本経済再生の処方箋とは。
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企業に安住するビジネスマンの再起が強く望まれている。もちろん、やみくもに働くだけでは危機の時代を乗り切れない。
求められるのは「問題の本質を探る力」――と大前氏はいう。氏が危惧するのは若者に顕著な「マニュアル志向」だ。初めて経験した仕事がコンビニのバイトといった世代にこの傾向が強く、上司のいう通り仕事をこなすが壁に直面した際の解決能力に欠けるという。
どうすれば自社商品のシェアを伸ばせるか、生産性を上げられるか――といった課題に際して、マニュアル上司から教えてもらえる“解”はない。それは日常から考える力を養うことでのみ導かれるという。
大前氏はこう続ける。
<インターネット検索すれば何でもすぐに調べられ、「知識」自体の価値が相対的に低下している。その分、深い洞察から答えを導き出すスキルの価値は、間違いなく上昇しています>
※週刊ポスト2010年10月15日号