独居老人が増え続けている一方でこれをチャンスと捉え、様々なビジネスが展開されている。身辺整理、遺品整理、共同墓、話し相手サービスなどなど。無縁社会に暮らす老人にとって強い味方となっているこれら「無縁ビジネス」だが、中には悪質な業者もいる。遺品整理屋も例外ではない。その手法をノンフィクションライターの窪田順生氏が明かす。
***************************
不用品回収業などをしていた横山堅一氏(仮名・32歳)は、テレビのドキュメンタリーで遺品整理屋という仕事があることを知り、友人とトラック一台で参入した。「高齢化社会になるので、これから絶対にのびるビジネスだと思った」というが、現実は厳しかった。
「ビラをポスティングしても、思いのほか反応が悪い。仕事の数が少ないので食べていくために結局、不用品回収の時と同じ“裏ワザ”に頼るようになった」(横山氏)
それは、「不法投棄」である。「産業廃棄物になるので結構お金がかかる」と高額な処分料を請求しておきながら、深夜に山奥などで不法投棄をする。処分料がそのまま懐に入るということで、悪質不用品回収業者がよくつかう手だ。これとまったく同じスキームを遺品整理に応用しているという。
「孤独死をした高齢者の遺品整理は不用品回収よりもボロい。依頼主が疎遠な子供や遠い親戚、ひどいときは家主だったりするので、ほとんどが『すべてお任せします』という感じなので、処分料も言い値を払ってくれる。めぼしいものはリサイクルショップに流し、あとは北関東のとある産廃置き場に捨てにいくので、そっくり懐に入る。似たようなことをしている連中は意外と多いですよ」(横山氏)
※SAPIO2010年10月13・20日号