「朝青龍は相撲をなめている。私はテレビドラマをなめていない」―相撲協会が横綱に処分を下せずにいるなか、彼女は決然といい放った。テレビドラマは崖っぷちの真剣勝負の世界。2年前に倒れ、生死の境をさまよっていわば“土俵際”まで行った脚本家の内館牧子さん(62)は、久しぶりにそこへ帰ってきた。
平成22年度文化庁芸術祭参加『塀の中の中学校』(10月11日(月・祝)午後9:00-11:24 TBS系)で脚本を務めている内館さん。テレビドラマについてこう語る。
「テレビドラマの仕事がスリリングなのは、すぐチャンネルを変えられちゃうこと。他のジャンルなら、ゆったりした情景描写や人物紹介からはいってもいいんだけど、テレビドラマでそんな悠長なことをやってたら最初のコマーシャルまでにチャンネルを変えられちゃう。だから、もう最初にばーんとすごい話を持ってきて引きつけようとか、ときには、あざとい計算も必要なんです。私がTBSで書いてて、みんなフジテレビにチャンネル回しちゃったっていうのは困りますからね(笑い)。
テレビドラマは時代と共に生きている。時代に合わなければ、俳優も脚本家もすぐ捨てられる。あの女優は数字がいかないよって、この脚本家は数字をとれないよってすぐ烙印を押される。私は、視聴率なんかどうでもいいという人はテレビにおいては信用しない。数字がいいものってやっぱりどんな番組であれ、パワーがあるんですよ。
スタッフと一緒に崖っぷちで作っているうちに、俳優さんの違う一面が出てきたりして、そうなると、何かが降りてくることがあるんです。思いがけない展開にワァーッと自分が引っ張られて、書く手がついていかないみたいな。それは、一人仕事のジャンルではちょっと味わえないんじゃないかしら」
※女性セブン2010年10月21日号